臆病者の鬼遊び

 


次の日は、夏期講習にきちんと倫太郎も来た。
 

担任が出席をとる際、倫太郎に「昨日はまさか、忘れて家で寝てたんじゃないだろうなー?」と冗談で言ったのだが、


彼が真顔で「はい」と答えたせいで、教室が凍りついた。
 

誰かが「せんせー勇者~」と呟き、そのうち数名が七海子に「お前何とかしろよ、お前の身内だろ」という視線を送ってきた。


七海子が顔を伏せて知らんぷりを決め込んだところ、都合良くチャイムが鳴り、事なきを得た。



その後は、ほとんどいつもの授業の通りだった。


暑い暑いと泣きごとを言う生徒に、


「うるせえ俺だって我慢してんだよ」


と教師ががなり、女の子が果敢にもスカートをまくり上げては、


「足を閉じろ! はしたねえ!」


誰かがプラスチックの下敷きでビュルンビュルン煽いでは、


「静かにしろ」


「職員室のクーラーちょうだいよ」


「お前らにはやらん」


という会話が飛んだくらいだった。