臆病者の鬼遊び




「……今日」


「はい」


「朝……起きたら、誰もいなかった」


「……でしょうね」
 

七海子は、いつも早いうちに家を出てしまう。
 

そして花代さんも、ほとんど七海子に続いて出発し、本家へと向かったはずだった。


「……花代さんが本家に行ったのは知ってた。だけど……」
 

倫太郎が、一歩近付く。
 

七海子は乾麺の封を切りながら、それに気付かない振りをした。


「……お前まで、いなかったから……………」


すごく不安だった、と。


小さな声で、絞り出すように、彼は言った。


七海子の胸が、きゅうぅと痛む。


「……場所や安否を確認しようにも、そもそも俺は、お前の電話番号も、メールアドレスも知らなかった。


……本家にまで連絡を取ったのに、お前は来てないと言われた。


でも、一向に帰って来ないから、一日中心配してたんだぞ……!」