本家は、着物集団が蠢く恐ろしい場所だ。
そんな中、弱虫で半人前の七海子が乗り込んで行っても、怖く厳しく説教されるに決まっている……!
「あと、まだ夏期講習もあるし……」
学校の言う『夏休み』は、正確には『夏休み』ではない。
そりゃ、先生は通常授業に比べて少なく、順々にお休みなのだろうが、
生徒は最初の数週間、夏期講習という名の強制登校がある。
もはや、ぬか喜びである。
「あらそう? じゃ、大人しくお留守番してなさい」
「で~も~……」
「なに、何か心配な事でもあるの?」
「ある!」
「どんな心配?」
「だって、……花代さんいなくなったら、
その…………二人っきりに、なっちゃうじゃん……」
そういう事は、心配じゃないの?
七海子は、ありったけの勇気を振り絞って言った。



