臆病者の鬼遊び




「……倫太郎」


「そっか。半裸で涼んでるところ悪かったね、倫太郎君。


それじゃ僕はこれで……」


物凄く失礼な事を言われた気がしたが、宮沢はそそくさと出て行ってしまった。


猫が乱暴で無礼な奴なら、飼い主も厚かましい奴だ。


それともここでは、あのくらい馴れ馴れしいのが普通なのか? と悩んでいると、七海子が甚平を干しに来た。


「あれ、今、誰かと喋ってた?」
 

言おうかどうか迷ったが、


「……宮沢って奴が、猫を探しに来た」


倫太郎は立ち上がり、自室の引き出しを漁りながら、聞こえるギリギリくらいの声量で答えた。


本当は、言うのも癪だった。


「え、清志さんが? 


やだ、さっきまでタビちゃんいたのに……」
 

思った通り、七海子は宮沢を下の名前で呼んだ。


もっともそれは、彼の親とも交流があれば当然なのだが、倫太郎は何となくそれが気に入らなかった。