(全部が全部、自分の責任なら楽だとでも思ってるんだろうか。
肝の小さい娘……)
……そう思う自分が、とても嫌になる。
あるいはあれこそが、優しさとでも呼ぶものなのだろうか。
しかしすぐさま、猫に優しくしている自分に酔っていたいだけ……?
という対照的かつ意地悪な考えが頭に浮かび、倫太郎は何度目かの溜め息を吐いた。
「そこの君」
倫太郎が顔を上げると、そこには見知らぬ丸眼鏡の青年がいた。
頬に、ざっくりと赤い生傷がある。
「……誰?」
低い声で倫太郎が言うと、
「ああ、ごめん。僕は近所に住んでる宮沢」
「何の用?」
「君、猫見なかった?
このくらいの、茶色い靴下猫で、タビちゃんていうんだけど……」
「その猫ならさっき、七海子を引っ掻いて逃げた」



