「でも!」
罵りながらも、倫太郎は自己嫌悪していた。
猫を怖がらせたのは自分だ。
だから猫に対する怒りは八つ当たりだし、七海子が怪我をしたのも自分のせいであると考えていた。
七海子は悪くない。
怪我をすれば、血だって出る。
今のは全部、不可抗力だ。
だが、七海子は自分が悪いことをしたのだと、この世の終わりみたいな顔をして、
倫太郎の甚平を剥ぎ取っていった。
正直……いきなりで大胆な行動に、倫太郎は少々面食らっていた。
だが、七海子は恥ずかしがりもせず、ひょこひょこ小走りになってどこかへ消えた。
「花代さーん、ビニール手袋どこー!
……いないのー?」
やがて、水道を使う音が聞こえて来た。
残された倫太郎は、憮然としたまま、縁側に腰かけた。



