臆病者の鬼遊び




タビちゃんも、「あっ……」というような焦った顔をしていた。

わざとじゃなかったのだろう。


七海子にもそれは分かっていたので、怒らない。
 

左手の、指を何本かやられた。

そう言うと大袈裟な気もするが、実際は結構なクリティカルヒットだった。

……血が滲んでいる。


「タビちゃん、えっと、私は大丈夫だから……はやく、お家に帰ろうか……」
 

そう、しどろもどろに言った。
 

しかし、


「……お前」
 

倫太郎は、全然大丈夫ではなかった。
 

青筋が浮かび、歯をぎりりと食いしばり、まさに鬼の形相をしている……!




「――タビちゃん逃げて!」
 

並々ならぬ危険を感じて思わず声を張ると、同時にタビちゃんが庭に降り立った。
 

そのまま、わき目もふらずに一直線に遁走する。


「こらっ……!」
 

飛び出しかけた倫太郎を、袖を引っ張って阻止した。