七海子はびっくりして、花代さんを見た。


花代さんは、何やら気まずそうににやにやしている。


「倫太郎君……ピーマン嫌いなの?」


「子供の頃の話よ? 


小さい頃……何年か、リンタロ君の面倒みてた事があるの。


それで、必ずピーマンと大葉残してたから……」


「面倒みてた? 倫太郎君は本家にいたんでしょ? 

なんでわざわざ花代さんが……」


 
花代さんの表情が曇った。
 

その変化を、七海子は敏感に感じ取る。


「……後で話すわ」
 

事情がある事は分かった。
 

七海子は、フライパンにガラムマサラを振りかけながら、


「ねえ花代さん……私からもちょっと、話してもいい?」