琥珀の記憶 雨の痛み

「だから、それはさぁほら」

と、ナツは目を細める。

そのにやにや笑いに、ものっすごく嫌な予感がした。
背筋にぞわりと何かが走る。


「男の子は好きな子には意地悪したくなるってゆー、あれよ!」

「ぶっ」

予感的中。
小学生かっ!


「そーデスネー。アルアル」

棒読みで適当に流して、そこについては相手にしないことにした。

ナツは不服そうに顔をしかめるけど、あり得ないもんはあり得ないでしょ。


ナツは、ちゃんと分かって言ってるのかな?

ユウくんのアレが『好きな子に対する意地悪』だとしたら、『ユウくんが私を好き』ってことだ。
その時点で百歩譲っても……千歩譲ってもあり得ないのに、そこからどう飛躍したら『私がユウくんを好き』って可能性に繋がるんだ。

論理的に――ま、どうでもいっか。


「そういうナツは、どうなのよ」

このままさらっと矛先を変えちゃおう。
そういうつもりだった、のに。

「えぇー? ナツが先に言っちゃっていいのぉ?」

「……へ?」

思いの外ナツが真剣な顔をするから、急に不安になる。


あれこれ、『どっちの方が好み』的な、軽いノリの話じゃなかった?
なんでそこで、念を押すの?


「ナツ……これ、真面目な話?」

思わず確認した。
せずにいられなかった。