琥珀の記憶 雨の痛み

「――ええと……どっち、というのは」

それは、何かと何かの二択の場合に使う言葉だ。
色恋沙汰の話を、していたような。


って、逃避して後回しにしても仕方ない。
今ここには私とナツしかいなくて、ナツは多分、逃がしてくれない。


「もう、だからぁ。分かってるでしょ? タケか、ユウくんかって話だよぅ」


――ほら、やっぱり。

尚吾くんを出されると、返答に困る。
けど、なんで選択肢にユウくんが入ってくるんだ。


「ね、選択肢はその2人なわけ?」

「だってアツシは消えちゃったじゃない」

「いや……」


別に、バイト先の共通の友達に絞らなくったって。
という反論は、多分正論だと思うのだけど。
その言葉を続ける気にならなかったのはなんでだろう。

事実惹かれている人が選択肢に入っているからか、それともナツに聞く耳がなさそうで、言っても無駄そうだからか。


それにしたって。


「なんでユウくん……。あの人に、なんかすごく意地悪言われたよ私」


尚吾くんにも言われて、苦手意識を取り払ってみようとは思ってるけど。
今日一緒にレジに入ってみたら、そこまで嫌なヤツでもなかったけど。


だからって、恋愛対象の選択肢にはどう考えたって。