琥珀の記憶 雨の痛み

「見てたら羨ましくなっちゃって。ナツも、彼氏、欲しいなぁ」


――そんな、蕩けたような潤んだ目で、困ったような甘えるような上目遣いで。
私を見られましても……ナツさん?


「ええと……その前に、好きな人とか」

「そこなのよ!」

と、喰い付き良くナツの目の輝きが増して、こっちは腰が引けた。


「な、なによ」

「だから、莉緒に聞きたいことがあるって言ったじゃん」

「え、そうだっけ?」


聞きたいことじゃなくて、話したいことじゃなかったかしら。
まあ、どっちでも似たようなものか。


例の公園脇の、尚吾くんが『危ない』と言った道に入っていた。
けど、ナツも別にこの道を通ることを何とも思ってないようだ。

もしやと思うけど、私よりも遅くに帰るのに、1人でこの道通ってるんだろうかこの子は。


「で、何よ?」

先を促すと、言いづらそうに身体をくねらせる。

……こういう仕草が似あう女子って、得だよね。
とか思っちゃったりして。


「あの……あのね、莉緒は」

「うん、なあに?」


結構なタメを作るナツに、根気よく付き合って相槌を打った。

そして。


「どっち狙いかなぁと思って」


思考が一瞬、停止した。