「すみません、いつまでたっても役立たずで」

「そんなことないよ。チェッカーはもう慣れたもんね」

バックヤードに戻されて、従業員用の休憩室に座らされる。

しゅんとお詫びを入れる私に、三橋さんはティーサーバーから落としたお茶を出してくれた。


チェッカーとは商品スキャンの係で、レジに2人制で入る場合は金銭授受をもう1人のキャッシャーが行う。

本当は1人で両方こなせないといけないのに、私はまだ片方しか許されていない。


「2人制ならキャッシャーも問題なく出来てるのに。商品券処理とか、普通もっと覚えるのに時間かかるのよ」

あはは、と乾いた笑いで誤魔化した。

そう、チェッカーでもキャッシャーでも出来るしバックヤードで練習する限りは1人制も問題ない。

なのに、何故客前に出ると詰まるんだろう。


「もしかして、あがり症?」

――ぎくり。

お茶に伸びた手が止まったのを見て、三橋さんがぷっと吹き出した。

「ま、新田さんが来てくれる夕方の時間帯は混むから、どうせほとんど2人制だしね」

ぽん、と肩をひと叩き、10分休憩したら3番レジのチェッカーに入るようにと言い残して、三橋さんはフロアに戻っていった。