琥珀の記憶 雨の痛み

ユウくんが対応してくれた時の態度を思い返す。

売り場の担当者に頼ってばかりいないで、いずれはあんな風に、自分で切り抜けられるようにならなきゃいけない。


変な言いがかりをつけてくるお客様に当たったのは災難だったけど。
担当者の対応を目の前で見れたり、岡本さんに聞かせていただいた話も良い勉強になった。

意識が、ひとつ高いところへ上った気がする。


――そこには、正社員登用を目指すというユウくんに対する、ちょっとした対抗意識の様なものも含んでいるのだろうと。
認めざるを得ない、のだけど。


人数が少ないせいで、客足が引いた後もみんなそれぞれに手が空かなかったのだろう。

返品やらサッカー台の清掃やら、レジ締め以外にも閉店準備が山ほど残っている。


ばたばたとそれに駆け回っている間に閉店の音楽が流れ始め、ようやく全てが片付いた時に、本当の『いつもらしさ』が戻ってきた。


「莉緒~。遊びに来てくれなかったぁー!」


返品で駆けまわっていた店内でナツに捉る。
すっかり忘れてたけど、そう言えばレジに入る前にそんなこと言われてたんだ。


「ごめーん! ずっと忙しかったの、今日人が少なくて」


顔の前で両手を合わせると、わざとらしくぷうっと膨らませたナツのほっぺはふんわりとした笑顔に変わっていく。