琥珀の記憶 雨の痛み

ユウくんが乱雑にカゴに移してくるスキャン後の商品に、重い物を下にしたりスペースを確保するために少しずつ手を出していると、

「バッジ外して」

とまた彼が小声で言った。


「それ貸して。あんたもう、いらないでしょ」

「……自分のは?」

「ロッカー」

「てか、このままこのレジに入るの?」

「そう、だから早く」


あれ、なんで私が怒られるみたいになってんだ。
頼みごとをする時ですら偉そうな口ぶり。

なのに、チェッカーの手付きはぎこちなくて妙に親近感が湧いた。

言われた通りに研修中のバッジを外して、彼が最後の商品をスキャンし終えた隙を狙って手渡した。


研修中バッジを付けたユウくんのレジ捌きはやはり遅くて、気付いたお客様は他のレジへと流れていく。

既に大分客足も引いて来ていたのもあって、いつのまにか、練習に丁度良い程度に列がはけた。
お客様の待ちは、いても1組だ。


「これ何?」

と、たまに分からないことを聞いてくる。

「惣菜バイキング。大きい方がメンチカツ……そう、そのボタン……2枚。この小さいのは80円のコロッケ――お客様、コロッケ全部で6個でお間違いないですか?」


バイキングは値段の違うものを適当にひとつのパックや袋に入れて持ってこられることも多いから最初は難しい。

見分け方や手打ちキーの位置を教えながら、重なって見づらい商品の個数をお客様に確認取っていると、隣からへえ、という呟きが聞こえた。