琥珀の記憶 雨の痛み

「アツシ! お待たせっ」


従業員出入り口を出るなり、メグが真っ先に彼の元に駆け寄っていく。


彼女が語尾に小さい『っ』を付けるような弾んだ話し方をするのも、思えばアツシがいる時だけのような気がした。

そんな小さなことにも2人だけの間で培われてきた関係性が表れているような気がして、それを垣間見るのは幸せのお裾分けを貰ったみたいに嬉しくて、何故かちょっとだけ恥ずかしい。


そうかぁ、このアツシもバイトリーダーに昇格……。

ついついじっと見つめてしまいそうになってしまうけど、私が『知ってる』ことに気付かれたらサプライズが台無しだ。

いや、今のところサプライズ出来るのかどうかも不確定なのか。


「お疲れアツシ。今日は企画から何からありがとね」

「ヤー! 莉緒ちゃんの『お願い』のおかげっしょ。メンバーも集まったし、俺すっげ楽しみ。早く行こうぜ」


……やー? 『YEAH』かな。
メグは呆れたみたいな苦笑を浮かべながらも、一緒になってヤーヤー言いながら歩き出した。


「タケ達3人はもう店入ってるってよー」

「えーずるいっ! 急ごう!」


2人の先導に任せて、秘密の行先へ向け少し速足の移動が始まる。
どうやら、そう離れた場所ではないみたいだった。


「あれ。ねえ、ユウくんは? 結局来れないって?」


サプライズ出来るかどうかは、メグも気がかりなはずだった。
ユウくんの参加にかかってるわけで、最終的な結論がもう出ているならば早く知った方が良い。

結構するりと自然に、私の口からその質問は出たと思う。


「えー、何莉緒ちゃん。そんっなにアイツが気になる!?」


嬉しそうにキラッと光らせた目を細めて、アツシがはしゃいだ。
何でそうなる、という突っ込みは、私が入れる前にメグが入れてくれた。