そんなに広くもない、従業員エレベーターの中。
パートさんと2人きりの空間に、一瞬の沈黙が訪れた。
それから、上昇中の箱が揺れるくらいにパートさんが笑った。
「え、えっ? なんですか!?」
慌てふためいて聞くと、彼女はバシンと私の肩を叩いた。
「有希ちゃん、あなたが自分に似てるから、あんな風に気にかけて構いたくなるのねー」
と、まだクスクス笑っている。
「に、似てます? 私と有希さんって」
意外だった。
私に、有希さんみたいなキャパシティやバイタリティはない。
積極性もなければ、ポジティブでもない。
有希さんは親しみやすくてでもどこか遠い、自分とは違う世界にいるような、眩しい存在なのに。
エレベーターが目的階に着き、扉が開く。
休憩室に向かう私と、更衣室に向かいこのまま上がるパートさんとの分岐点だった。
「信頼って、目には見えないものだものね。貰ってる方は気が付かないのかしらね」
「あの……」
「オバサン、有希ちゃんが心配してたのも何か分かるわ。でも大丈夫よあなた、きっと大丈夫」
根拠のなさそうなその『大丈夫』に、私は困って苦笑いを浮かべた。
有希さんの心配が分かるってことは、この人も私に『もっと遊べ』とでも言いたいのだろうか。
「今度売り場で有希ちゃんのボリュームが上がったら、あなたが注意してあげなさいよ、『うるさいです』って」
あはは、と楽しそうな笑い声をあげながら、パートさんはもう、立ち止まってこれ以上話を続ける気はないようで。
「お疲れ様、お先に」
とにこやかに手を振って、更衣室の方へと向かって行く。
ポカンとしてそれを見送ったけれど――、『大丈夫』の魔法と一緒に、元気を貰えた気がしていた。
朝番・早上がりのパートさんで今までほとんど喋ったこともなかった人なのに、あんな風に身構えずに話せたことに自分でも少し驚いていた。
あの人と私を繋いでくれたのは、有希さんだ。
信頼は『目に見えない』。
――けど、パートさんと私の有希さんに対する『信頼』という見えない糸は、確かに私たちを繋いでくれていた。
パートさんと2人きりの空間に、一瞬の沈黙が訪れた。
それから、上昇中の箱が揺れるくらいにパートさんが笑った。
「え、えっ? なんですか!?」
慌てふためいて聞くと、彼女はバシンと私の肩を叩いた。
「有希ちゃん、あなたが自分に似てるから、あんな風に気にかけて構いたくなるのねー」
と、まだクスクス笑っている。
「に、似てます? 私と有希さんって」
意外だった。
私に、有希さんみたいなキャパシティやバイタリティはない。
積極性もなければ、ポジティブでもない。
有希さんは親しみやすくてでもどこか遠い、自分とは違う世界にいるような、眩しい存在なのに。
エレベーターが目的階に着き、扉が開く。
休憩室に向かう私と、更衣室に向かいこのまま上がるパートさんとの分岐点だった。
「信頼って、目には見えないものだものね。貰ってる方は気が付かないのかしらね」
「あの……」
「オバサン、有希ちゃんが心配してたのも何か分かるわ。でも大丈夫よあなた、きっと大丈夫」
根拠のなさそうなその『大丈夫』に、私は困って苦笑いを浮かべた。
有希さんの心配が分かるってことは、この人も私に『もっと遊べ』とでも言いたいのだろうか。
「今度売り場で有希ちゃんのボリュームが上がったら、あなたが注意してあげなさいよ、『うるさいです』って」
あはは、と楽しそうな笑い声をあげながら、パートさんはもう、立ち止まってこれ以上話を続ける気はないようで。
「お疲れ様、お先に」
とにこやかに手を振って、更衣室の方へと向かって行く。
ポカンとしてそれを見送ったけれど――、『大丈夫』の魔法と一緒に、元気を貰えた気がしていた。
朝番・早上がりのパートさんで今までほとんど喋ったこともなかった人なのに、あんな風に身構えずに話せたことに自分でも少し驚いていた。
あの人と私を繋いでくれたのは、有希さんだ。
信頼は『目に見えない』。
――けど、パートさんと私の有希さんに対する『信頼』という見えない糸は、確かに私たちを繋いでくれていた。



