琥珀の記憶 雨の痛み

「今しか出来ないって、どこかで焦ってるのかもねー。恋も夜遊びもお酒も、私は周りより少し覚えるのが遅かったから」

と、有希さんは少し恥ずかしそうに話した。


「休み中だし今は特にね。連日彼氏や仲間たちと集まって朝まで馬鹿騒ぎして。寝て目が覚めたら頭はガンガンするし、やりすぎたなーっていつも思うの。でも、夜が来ればまた同じことの繰り返し。別に悪い事してるわけでもないんだけどさー」


限度を知らずに無茶して馬鹿やってると思う、と、有希さんは自分のことを、どうしようもない駄目人間みたいに言った。

けど、別に有希さんは、それだけの人じゃない。


「でも有希さん、こうやってちゃんと仕事もしてるし。大学だって、授業ある時はちゃんと勉強しに行ってるんでしょ?」

「そこなのよ、一応今でも真面目ちゃんの血は流れてるからね。休み中も課題は出てるし、それもバイトも夜遊びも、とにかく全部全力投球。そうするともう、寝る時間削るしかなくなってくるんだよね」


話を聞きながら、有希さんの生活を考えてみた。

今日は3時からバイトで、終わってから朝まで遊んで、その後ゆっくり休んでからまたバイト――ではなく、バイトに来る前に、大学の課題もやってるんだ。


「えっと……よく、身体もちますね?」


『朝まで』というのが何時ごろまでを指すのかよく分からないけど、私ならそこはせめて『真夜中まで』くらいで止めて、もう少ししっかり寝たいような。


でも、大学の勉強もバイトも手を抜かないだけじゃなく、有希さんは恋も遊びも『頑張ってる』んだ。

私は学校の成績とバイトだけでいっぱいいっぱいで、それ以外は、『頑張りどころが分からない』。

――比べてみると、自分がやけに小さく感じた。


「この辺までって線が引けないのよ、勿体なくて。ほら、人よりスタートが遅かったからさ」

と、彼女はもう一度繰り返した。


「10個楽しみがあったとしてさ、高校の内に2、3個でも消化できてたら、今もうちょっと配分考える余裕あったと思うんだよねー」