21時閉店だけど、実質は閉店作業や終礼など込みで21時半までのアルバイトだ。

最初にナツに言われたように1時間まではサバ読めなかったけど、それでも親には、もう少し遅くまで仕事をしていることになっていた。


従業員出入口を出ると、

「おーお疲れ」

「女は遅ぇな、ったく」

既にそこには同世代のバイトの男の子たちが座り込んでいる。


「今日ねぇー、廃棄のコロッケもらった!」

メグが鞄の底に隠していたそれを取り出して見せると、

「マジ、ちょうだい! 超腹減った」

すぐに飛びついたのは鮮魚コーナーのアツシだ。

メグとナツと同じ高校らしい、みんながアツシと呼ぶので上の名前は知らない。


「3個しかないから半分こしても1人食べれないー」

「よし、タケ。コロッケ抜き決定」

「俺かよ!?」

タケは加工食品担当、アツシと仲が良いのは同中だからとかなんとか。


そして、

「あー俺、いらね」

「お、さすがユウ。大人」

「ユウくん、ちょっと食べてお肉つけたほうがいいのに!」

……ユウくん。


この人だけ1つ上だから、女の子はみんな彼を君付けで呼ぶ。

本当の名前がユウスケなのかユウイチなのかも、私は知らない。