琥珀の記憶 雨の痛み

あ、まただ。
自覚してしまうと、少しだけ動揺する。

アツシのこと、周りのことを何にも考えてないように思ってた?
――自分より下に、見てた?

仮にもメグが選んだ相手で。
私が、彼のそういう良いところに気付こうとしてこなかっただけなのに。


暗い思考に囚われる隙を与えないタイミングで、彩乃ちゃんが「そんなことないですよぅ」と慌てて両手をぱたぱたさせる。


「高校生が他にもいるのは知ってたんです、たまに莉緒さんと話してるとこも見たし。ただなんとなく、ちょっと……入りがたいっていうか、あの」


気まずそうな笑いを浮かべながら、彼女は小さな声で「ちょっと怖くて」と付け足した。


その感情は、私も知っている。
彼らは学校の友達とはあまりにも纏う空気感が違った。

価値観も、やってることも。


中学からの友達にも『真面目』と言われる私が見てもそう感じるのだから、彩乃ちゃんも相当な『真面目』ちゃんだと思う。
村上さんもそう思ったみたいだし。

それを考えると、彼女が『他の高校生バイトたち』に持った印象も、私の最初の頃のそれと似たようなものだったんだろう。


私がただ慣れただけなのか、それとも変わったのかは分からないけれど、最初の頃のような恐怖心や嫌悪感は今はない。

代わりに私の場合は、違う意味の居心地の悪さは生まれてしまったけれど。


余計なことは伏せ、ただ安心させるように「みんな良い人たちだよ」と言うと彩乃ちゃんは顔を綻ばせた。


「はい! アツシさん、すごく話しやすかったので。嬉しいです、もっと仲良くなりたいって思ったから」