売り場の端、青果コーナーから順に回る。
お客様が買い物する時の一般的なルートを通りながら覚える方が、色々と便利だ。
売り場には夏野菜が増えて、値段も買い求めやすくなってきている。
同じ野菜でも産地や種類によって価格が違ったり、バーコードが付いているものと、なくて手打ちのものとがあったり。
「基本はバーコードがなければ手打ちすればいいんだけど、たまにシールが剥がれちゃってる時があるから」
商品ふたつを手に取って見比べながら、気を付けるべきところを教えていく。
私に出来たてのたった1人の『後輩』は、大袈裟に頷きながら、必死でメモを取っていった。
頼りなくて、ちょっとどんくさくて。
真面目だけが取り柄みたいに見えて、覚えるのもあまり速くはない。
この子が、いなくなってしまったケイの代わりに補充された新しい高校生バイトなのだ。
高校1年生、ひとつ下。
歳も近いし比較的シフトが合うこともあって、彼女からしてみても私が一番質問しやすいのだろう。
暗黙の了解で、社員さんやパートさんの中でも私が彼女の教育係という認識がされているようだった。
「生鮮食品はざっとでいいから、傷みがないか確認してね。気が付いたら、交換するかお客様に聞いて……」
説明しながら売り場を進んで行く途中で、彼女が突然何か気が付いたように小さく声をあげた。
「たまに莉緒さんがレジから出て行っちゃう時って、売り場に来てたんですね……」
「ああ、うん。接客中は説明してる時間があんまりないから、いつも勝手に消えちゃってごめんね?」
バーコードが剥がれてたり、商品交換が必要な時だったり、お客様から商品について予想外の質問が来たりした時のことだ。
先に他の商品をスキャンしておくように指示だけ出して、売り場に確認に行っていた。
お客様が買い物する時の一般的なルートを通りながら覚える方が、色々と便利だ。
売り場には夏野菜が増えて、値段も買い求めやすくなってきている。
同じ野菜でも産地や種類によって価格が違ったり、バーコードが付いているものと、なくて手打ちのものとがあったり。
「基本はバーコードがなければ手打ちすればいいんだけど、たまにシールが剥がれちゃってる時があるから」
商品ふたつを手に取って見比べながら、気を付けるべきところを教えていく。
私に出来たてのたった1人の『後輩』は、大袈裟に頷きながら、必死でメモを取っていった。
頼りなくて、ちょっとどんくさくて。
真面目だけが取り柄みたいに見えて、覚えるのもあまり速くはない。
この子が、いなくなってしまったケイの代わりに補充された新しい高校生バイトなのだ。
高校1年生、ひとつ下。
歳も近いし比較的シフトが合うこともあって、彼女からしてみても私が一番質問しやすいのだろう。
暗黙の了解で、社員さんやパートさんの中でも私が彼女の教育係という認識がされているようだった。
「生鮮食品はざっとでいいから、傷みがないか確認してね。気が付いたら、交換するかお客様に聞いて……」
説明しながら売り場を進んで行く途中で、彼女が突然何か気が付いたように小さく声をあげた。
「たまに莉緒さんがレジから出て行っちゃう時って、売り場に来てたんですね……」
「ああ、うん。接客中は説明してる時間があんまりないから、いつも勝手に消えちゃってごめんね?」
バーコードが剥がれてたり、商品交換が必要な時だったり、お客様から商品について予想外の質問が来たりした時のことだ。
先に他の商品をスキャンしておくように指示だけ出して、売り場に確認に行っていた。



