「いた……」
痛い。胸が。――指先が。
見れば血が滲んでいて、どうやら引きちぎったまんま処理してなかった金具の先で切ったらしい。
傘の下にまで跳ねてくる雨が混じって、そう深い傷でもないのに赤がどんどん拡散していく。
「――は。お前、何した!?」
様子に気付いたユウくんが、異様な程に慌てた。
止める間もなく「待ってろ」と言い残し、凄い剣幕で立ち上がって傘の下から出ていく。
「ユウ……」
向かった先は従業員出入り口、みたいで。
勢いよく扉を開け、中に向かって何か叫んだ。
全てをかき消す雨音が邪魔して聞き取れないけど、守衛さん以外にも誰かいたのか、数人の話し声がする。
待つほどの間もなく、彼はすぐに戻ってきた。
手にはタオル、借りてきたのだろうか。
それを投げて寄越し、
「自分で出来るか。濡れてるから俺」
と……濡れないように守ってたのか、タオルの中に絆創膏が包まれている。
そんな、大した怪我じゃないのに。
大袈裟なくらいの慌てようで、
「――ちょっと……大丈夫?」
こっちが心配になるくらいに、顔色が悪い。
傷はほったらかしたまま、まずは彼が雨に濡れないようにと傘を傾けると、「いいから早くしろよ!」と怒鳴られた。
何コレ。ちょっと普通じゃない、ような。
言われた通りに傷口を処置しながら、その様子が気がかりで仕方がない。
雨が――ううん、引き金は血だ。
血が彼を、そうさせるのだろうか。
この土砂降りで傘を差さないのも普通じゃないけど、それとは関係あるのか、ないのか。
「新田さん、怪我したって? 大丈夫?」
「あ……お疲れ様です! 全然。ちょっと切っちゃっただけなので」
突然傘の上から声をかけられて驚いたけど、そう言えば中で話し声がしてた。
いつの間にかもう、社員さんたちも上がってくる時間になっていた。
痛い。胸が。――指先が。
見れば血が滲んでいて、どうやら引きちぎったまんま処理してなかった金具の先で切ったらしい。
傘の下にまで跳ねてくる雨が混じって、そう深い傷でもないのに赤がどんどん拡散していく。
「――は。お前、何した!?」
様子に気付いたユウくんが、異様な程に慌てた。
止める間もなく「待ってろ」と言い残し、凄い剣幕で立ち上がって傘の下から出ていく。
「ユウ……」
向かった先は従業員出入り口、みたいで。
勢いよく扉を開け、中に向かって何か叫んだ。
全てをかき消す雨音が邪魔して聞き取れないけど、守衛さん以外にも誰かいたのか、数人の話し声がする。
待つほどの間もなく、彼はすぐに戻ってきた。
手にはタオル、借りてきたのだろうか。
それを投げて寄越し、
「自分で出来るか。濡れてるから俺」
と……濡れないように守ってたのか、タオルの中に絆創膏が包まれている。
そんな、大した怪我じゃないのに。
大袈裟なくらいの慌てようで、
「――ちょっと……大丈夫?」
こっちが心配になるくらいに、顔色が悪い。
傷はほったらかしたまま、まずは彼が雨に濡れないようにと傘を傾けると、「いいから早くしろよ!」と怒鳴られた。
何コレ。ちょっと普通じゃない、ような。
言われた通りに傷口を処置しながら、その様子が気がかりで仕方がない。
雨が――ううん、引き金は血だ。
血が彼を、そうさせるのだろうか。
この土砂降りで傘を差さないのも普通じゃないけど、それとは関係あるのか、ないのか。
「新田さん、怪我したって? 大丈夫?」
「あ……お疲れ様です! 全然。ちょっと切っちゃっただけなので」
突然傘の上から声をかけられて驚いたけど、そう言えば中で話し声がしてた。
いつの間にかもう、社員さんたちも上がってくる時間になっていた。



