バックヤードは更衣室と売り場、レジと金庫の往復に使うルート以外踏み入れたことがなかった。
教えられた通りに奥へ進んで行く。
掃除用具は最奥だと聞いたし、特に迷うことはない。
部門ごとの在庫の棚、冷蔵室、冷凍室。
今までは知らなかった部分をきょろきょろと横目に確認しながら進む。
奥に行くほど使われてないのか、少しずつ暗くなっていく。
最後の方は、古い備品やらポップが乱雑に積まれた物置――なんだか、廃棄場所なんだか。
目的の掃除用具は薄暗がりの中にあった。
定休日に業者が清掃に入るし、滅多に使われることがないんだろう。
でも忘れ去られているわけじゃない。
現に今この瞬間、必要だから私はここにいる。
「……使う人がいて初めて、存在意義があるんだからね」
モップの柄を握りしめながら、訳の分からない対抗意識を燃やしていた。
互いに一番暗い所にいて、邪魔者にならないように主張もせず、ひっそりと息を潜めて。
でもこの子には、必要とされる今この瞬間がある。
――じゃあ、私には?
「あるよ……多分。絶対」
一気に全てが明転なんかしない。
ちょっとずつでいい。
小さな積み重ねがきっといつか、自分自身の評価を変えてくれるはずだ。
そう、信じたい。
強引に気持ちを上向かせ、モップを持って急いで売り場に戻った。
フロアの汚れをひとつひとつ丁寧に落としていくと、心のくすみも連動して少しは綺麗になっていく気がした。
雨で汚れる前よりも少しだけ明るくなった床を見た岡本さんがえらく褒めてくれて、それだけで喜んでくさくさした気持ちが晴れる私は単純明快で――幸せだ。
教えられた通りに奥へ進んで行く。
掃除用具は最奥だと聞いたし、特に迷うことはない。
部門ごとの在庫の棚、冷蔵室、冷凍室。
今までは知らなかった部分をきょろきょろと横目に確認しながら進む。
奥に行くほど使われてないのか、少しずつ暗くなっていく。
最後の方は、古い備品やらポップが乱雑に積まれた物置――なんだか、廃棄場所なんだか。
目的の掃除用具は薄暗がりの中にあった。
定休日に業者が清掃に入るし、滅多に使われることがないんだろう。
でも忘れ去られているわけじゃない。
現に今この瞬間、必要だから私はここにいる。
「……使う人がいて初めて、存在意義があるんだからね」
モップの柄を握りしめながら、訳の分からない対抗意識を燃やしていた。
互いに一番暗い所にいて、邪魔者にならないように主張もせず、ひっそりと息を潜めて。
でもこの子には、必要とされる今この瞬間がある。
――じゃあ、私には?
「あるよ……多分。絶対」
一気に全てが明転なんかしない。
ちょっとずつでいい。
小さな積み重ねがきっといつか、自分自身の評価を変えてくれるはずだ。
そう、信じたい。
強引に気持ちを上向かせ、モップを持って急いで売り場に戻った。
フロアの汚れをひとつひとつ丁寧に落としていくと、心のくすみも連動して少しは綺麗になっていく気がした。
雨で汚れる前よりも少しだけ明るくなった床を見た岡本さんがえらく褒めてくれて、それだけで喜んでくさくさした気持ちが晴れる私は単純明快で――幸せだ。



