落ち込んだのか前向きになったのか自分でも分からないようなひどく曖昧な揺らぎの中で、けれど何故か、今やるべきことだけがくっきりと見えていた。
つまり、お仕事だけど。
天候のせいかお客様はいつもよりも少なく、引けも早いように思える。
通常ならこういう日は暇だ。
けど、自ら進んで指示を扇げば、むしろ普段よりも忙しいくらいにやることがいっぱいあった。
点々と濡れたフロアの掃除なんてのも、初めて与えられた仕事。
言ってみればただの雑用だけど――こんな隠れた仕事も沢山あることを、今までは見落としていたんだ。
掃除用具を探してバックヤードをうろついていると、後ろからぽんと肩を叩かれた。
「――ッ」
「あ、ごめん。驚かせた?」
その人の柔らかい微笑みに、すぐには声が出なくて。
ぎゅっと心臓掴まれたみたいに内側が鈍く疼いた。
「空いてるのに、なんか忙しそうだね?」
「……タケは、もうあがり?」
一瞬だけ迷った末に、名前は呼ばなかった。
だからか彼もほんの少しだけ表情を強張らせたけれど、すぐにそれは優しい笑顔に隠される。
「ん。モノあんま売れてないから、商品補充もすぐ済んだ。なんか手伝おうか?」
「あ、いいよそんな。多分こっちもすぐ終わるし。お疲れ様」
自分の鼓動が聞こえる。
耳の中まで、熱く脈打ってる。
近いんだ、惣菜コーナー裏の調理場と。
早く話を切り上げて立ち去りたい、と願ったのにも関わらず、こういう時に限って、タイミングってかち合うものだ。
つまり、お仕事だけど。
天候のせいかお客様はいつもよりも少なく、引けも早いように思える。
通常ならこういう日は暇だ。
けど、自ら進んで指示を扇げば、むしろ普段よりも忙しいくらいにやることがいっぱいあった。
点々と濡れたフロアの掃除なんてのも、初めて与えられた仕事。
言ってみればただの雑用だけど――こんな隠れた仕事も沢山あることを、今までは見落としていたんだ。
掃除用具を探してバックヤードをうろついていると、後ろからぽんと肩を叩かれた。
「――ッ」
「あ、ごめん。驚かせた?」
その人の柔らかい微笑みに、すぐには声が出なくて。
ぎゅっと心臓掴まれたみたいに内側が鈍く疼いた。
「空いてるのに、なんか忙しそうだね?」
「……タケは、もうあがり?」
一瞬だけ迷った末に、名前は呼ばなかった。
だからか彼もほんの少しだけ表情を強張らせたけれど、すぐにそれは優しい笑顔に隠される。
「ん。モノあんま売れてないから、商品補充もすぐ済んだ。なんか手伝おうか?」
「あ、いいよそんな。多分こっちもすぐ終わるし。お疲れ様」
自分の鼓動が聞こえる。
耳の中まで、熱く脈打ってる。
近いんだ、惣菜コーナー裏の調理場と。
早く話を切り上げて立ち去りたい、と願ったのにも関わらず、こういう時に限って、タイミングってかち合うものだ。



