一筋の涙 Ⅰ

『おい。桜坂 杏樹』

「............」

この声は間違えなくレンの声

見なくてもわかる。
あれだけ昨日言い合いしたから
嫌でも覚えている。


『おい。無視すんじゃねぇ』

「..................」

寝たふりを続ける私にとうとう
しびれを切らしたのか
っち!と舌打ちの声と同時に
腕を引っ張られ無理やり顔をあげた。