俺が返事をする前にその小さな体からよくでるなというくらい強い力で俺の腕を引っ張り、エレベーターに乗り込んだ。

それだけで少し息が上がっている。絶対こいつ、風邪ひいてるな。

「ほんとは熱あるだろ?」

「ないって!平気!颯は何も心配しないでテストのことだけを考えてたらいいの!」

いやいや、目の前に今にも倒れそうなくらいフラフラしてるやつがいたらそれは無理だろ。

「今日は早く帰れるんだし、二時間だけだもん。だから颯はあたしのことなんて気にしなくていいの。」

そう言って俺の隣をまたヨロヨロ歩き始めた実結。テスト終わったら即効連れて帰ろ…


学校につくとまたもやフラフラしながら教室に入っていった実結。

気にすんなって言われてもやっぱり気になる。テストが始まってもそのことが頭のなかをぐるぐるまわっていた。

長い長い二時間がやっと終わり、ようやくテスト終了。教室のあちこちからはテストから解放された喜びの声が次々に上がっている。