「違うもん!」

「ほんと食い意地はってんな。」

「颯のバカ!」

相当恥ずかしかったのか、そっぽを向いた実結。

「怒ったの?」

「…もう知らない!」

そんなふうに背中を向けられたら、こうやって…

「…っ!颯?」

その背中を抱きしめたくなる。

「ごめんって。拗ねんなよ。」

「拗ねてなんかないもん!」

相変わらずこういうところ、子供っぽいな。

まあ、そういうとこが好きなんだけど。

「みーゆ、こっち向いて?」

「…やだ…向かない!」

そうやって言われると、意地でも向かせたくなる。

だって反応が面白いから。

後ろから抱きしめたまま、その細くて白い首筋にキスをした。

俺っていつからこんなに積極的になったんだっけ。

違うな、こいつがそうさせてんのか。

「ひゃあっ!」

驚いたのか、こちらに振り向いた。

俺の、勝ちだ。

「やっとこっち見た。」

「颯が変なとこに!きっ、キスするから!」

照れているのか、その顔は真っ赤になっていて。

それが余計に俺の感情をかき乱す。

俺、本当にこんなんで今日の夜、持つのかな。

いや、でも廉さんと約束したし…

付き合い始めてから二年と数カ月。