颯と公園で少し話して、マンションに帰ってきた。

このまま帰っちゃうのかな。

もうちょっと一緒にいたいけど、やっぱり少しでも長く家族といたいって思うよね。

明後日はあたしのためにあけてくれてるって言ってくれただけでもすごく嬉しいよ。

「じゃあね、また明後日。」

いつもよりもずっと早く感じた、家の前までの距離。

本当にこうやって一緒に帰るのも最後なんだね。

明日からこんなことできないんだ。

制服姿の颯もこれで見納め。

「実結。」

名前を呼ばれたかと思うと、颯がエレベーターのボタンを押し、あたしの腕を引っ張り中に連れ込んだ。

颯は屋上行きのボタンを押す。

「いいの?帰らなくて。」

「…うん。」

屋上に着くと、少し寒いけど風が気持ちいい。

ここはずっと変わらない。

あたしと颯の思い出の場所。

いろんなことがここでもあったな。

小さい頃はここで真結ちゃんや聖君と鬼ごっこをしたり、かくれんぼをしたりした。

毎年夏にはここで花火を見た。

よく星空も見に来たね。

中学の時、進路で悩んでたあたしを颯が元気づけてくれたのもここ。

初めてのキスもこの屋上で。

そして忘れられないのが、別れようって言われたこと。