全てわかったみたいな顔。

でもなんで水橋が実結のこと、知ってんだ?

二人の共通点が見えない。

「颯先輩、実結先輩を大事にしてあげてくださいね。泣かせちゃダメですよ?」

「はい…。」

何故か後輩に敬語になってる俺。

俺がそう言うと、水橋は頷いて、走って体育館を出て行った。

ここで待ってればいいのかな。

泣かせちゃだめか。

高校の三年間で俺は何回実結を泣かせてしまったのだろう。

何回苦しめてしまったのだろう。

それと反対に何回笑わせて、幸せだなって思ってくれたのだろう。

大事にできてる?

俺にとってあいつは何よりも大切で、大切にしたくて


いつも隣にいてくれた、実結。

笑ったり、泣いたり、怒ったり、照れたり。

天然で危なっかしくて、鈍感で、素直で。

見てて飽きなくてずっとそばにいたいって思った。

高校一年の秋、初めて好きって伝えた思い。

やっと届いたときは信じられなかった。

最初はお互い付き合うってことを知らないから、わからないことばっかりだった。

初めて手をつないだ時のことを今でもよく覚えている。

付き合って半年くらいが過ぎた夏の日。

山下達と祭りに行っていた実結と昂たちといた俺は祭りのあとに一緒に帰った。