どんどんモヤモヤが増えていく。

こんな自分が嫌だ。

「実結!悪い、遅くなった。」

走ってきてくれたのか、少し息をきらしている颯。

やっと会えたのに、あたしはうまく笑えない。

口を開いたら、なんだか泣いちゃいそうで。

何も言えなくて、俯いた。

歩き出しても無言のまま。

せっかくの一緒に帰れる日なのに、こんな態度で嫌だよね。

最低だ。

勝手にヤキモチやいて、こんな態度とって。

何て言えばいいのかわからないよ。

だけど、颯の声があまりにも優しいから。

ずるい。

そんな優しい顔であたしを見ないで。

嫉妬してる自分に余裕がなくて、恥ずかしい。

思ってたことを正直に言ってしまう。

いやになったかな。

こんなヤキモチやく彼女なんて、面倒だもん。

颯の顔が見れなくて、俯いてると、ふわっと暖かい手があたしの頭を撫でた。

大好きなこの感覚。

いつもあたしの頭を優しく撫でてくれる、魔法の手。

悲しい時も、辛いときもそれだけで心がフワフワになる。

颯はこんな勝手なヤキモチ妬きのあたしを受け入れてくれる。

好きって思いが溢れて、止まらない。

今年も特訓を受けて作った不格好なブラウニーを渡すと、笑ってくれた。

その笑顔を見るたびに、あたしはまた颯が好きだなって思うの。

どんどん積もっていくの。