「うんっ...!あたしも、颯がずっと好きだよ!」

やっと言えた。

長い間言えなかった「好き」の一言。

恥ずかしいけど、それ以上に幸せで、くすぐったくて嬉しい。

顔をあげると、颯と目が合う。

颯の顔も少し赤くなってるけど、きっとそれ以上にあたしも真っ赤だ。

なんだか照れくさくて、あたしは俯いて颯の方に向き直って颯の温かい胸に顔を埋める。

優しいかおりがふわりとあたしを包み、自然とふにゃっとほっぺがゆるむ。

「なに笑ってんだよ?」

そう言って颯はあたしのおでこをトンッと押す。

「嬉しいの!生きてきた中で一番嬉しいかも!」

そう言うと、なんだか目頭がじわりじわりと熱くなって、ほっぺに熱いものが流れた。

「笑ったり、泣いたり忙しいやつ。」

優しく颯があたしのほっぺの涙を拭ってくれて、それがまたあたしの涙腺を緩める。

「だって夢みたいなんだもん!信じられないよー...」

「夢じゃないからな、現実だから。」

そう言ってまた颯はあたしをぎゅって抱き締めた。

あの日から一年。

今日は付き合い始めてから一年の記念日。

だけどこの様子じゃあきっと颯は覚えてないんじゃないかな。

そもそもあたし1人だけが勝手に付き合ってるって思い込んでる!?

いやいや、まさかね...

さすがにそれはないでしょ。多分だけど。

「おい実結、きいてる?今日も俺が部活終わるまで図書室にいんの?」

あれ、いつのまにやら学校に着いてたんだ。ぼーっとしてた。

「うん、待ってるね。」

「じゃあな。ぼーっとしてんなよ。お前すぐ転んだりすんだから。」

それだけ言うと、すぐに背中を向けて二年D組の教室にちょうど来た男の子と入っていった。

冷たい。

なんかいつにもまして冷たくない?

やっぱり、思い込みなのかな...

「ねぇ、中原颯君ってやっぱりかっこいいよね~!そこらの芸能人よりよっぽどかっこいいじゃん!」

何気なくはいってきた声に思わず耳を傾ける。

「あたし、彼氏今、いないんだよね~…颯君、彼女いないのかな?あたし狙っちゃおうかな~。」

ね、狙う!?