「実結…」

優しい声で名前を呼ばれるだけで、胸がキュンとなる。

呼ばれ慣れたこの名前も、颯が呼ぶだけでなんだか特別に聞こえる。

「顔あげて?」

無理だよっ!

絶対変な顔してるもん!

見せられないもん!!

何も言えなくて、ただ頭をぶんぶんふった。

「みーゆ、」

ほっぺに颯の手が触れて、思わずびっくりして顔を上げてしまう。

颯の大きな目があたしを見つめていて、それだけなのに心臓が壊れちゃいそう。

少しずつ颯の顔が近づいて、いつまでたってもなれないこの時間。

キスする前の、ドキドキは本当に慣れない。

一生慣れないと思う。

そっと優しく触れる、颯の唇。

すぐに離れて、また重なって。

お互いがお互いを求め合う。

もっと、もっとしてほしい。

もっと颯を近くに感じたいの。

もっといっぱい触れたくて、触れて欲しくて。

「…ふっ…んんっ…!」

だんだん生きが上がってきて、苦しいのに辞めたくない。

続けてほしい。

颯に抱きつきながら、颯のキスを受け入れる。

「…っ!!やあっ!」

な、なにっ!?

今、 変な感触がした!!

口の中に、生暖かくて、柔らかい物体が入り込んだ!