三回目に廊下に出た聖君は今度はガタンと大きな音をたてて椅子に座った。

そして大きく深呼吸をする。

「聖、緊張しすぎ!大丈夫だよ!」

「だって、そりゃ緊張するだろ?」

真結ちゃんが聖君を見てクスクス笑ってる。

んん?

ますますわけわからないよ。

「なあ、ちょっと話があるんだけど!」

そして聖君はリビングのソファでお酒を飲んでいた大人達に言った。

「なんだよ、改まって。」

お父さんたちが聖君の方を向いた。

「実結と颯も聞いて。」

あたしたちも?

なんだろう…

「れ、廉さん、日菜さん、実結、俺に真結をください!」

へっ!?

一瞬みんながポカーンとした顔で聖君を見た。

真結ちゃんだけが少し笑っている。

颯の顔を見ると、何も知らないというように首を振っている。

でも、それってつまり、

「真結と結婚させてください!お願いします!」

やっぱり、結婚って意味なんだ!


聖君と、真結ちゃんが結婚!?

嘘ー!!

でも二人は付き合ってからもうすぐ七年。

出会ってから二十一年。

結婚しても、おかしくはないかも。

「聖…本気なのか?」

お父さんが低い声で言った。

聖君の顔が明らかに強張っちゃったのがわかる。

やっぱり、娘を持つ父親の心境としては複雑なのかな。

たとえ相手が幼なじみの子供だろうと。

「本気です!絶対、必ず、真結を幸せにします!だから、お願いします!」

聖君が頭を下げて、それに続いて真結ちゃんも下げた。

「お願いします!」

しばらく俯いていたお父さんが、ようやく口を開いた。