「いった…何すんのよ!」

西田さんがあたしを睨んで見下ろす。

綺麗な人が睨むと、迫力が増してものすごくこわい。

けと、ここで怯むなんて絶対に嫌だ!

「そんなの、おかしいよ!颯のこと本当に好きなら、颯の夢の邪魔なんて絶対にできないはずだもん!颯のこと、本気で好きなら、一番笑っててほしいはずだもん!西田さんが好きなのは颯じゃない、自分自身なんだよ!」

途中から言っていて目頭が熱くなってきて、今にも涙がこぼれ落ちそうになる。

だけど泣かない。

泣きたくない!

「実結ちゃん、まだそんなに颯君が好きなんだ。ほんとしつこいよね、無駄なのにね!バッカじゃないの?」

西田さんが鼻で笑う。

バカでもいい。

颯が好きだもん。

この気持ちは誰にも負けない。

「これから颯に何かしたら、あたしは許さないから。」

颯の夢の邪魔だけは絶対にさせない。

「なんなの?ホントウザイよ!」

西田さんの腕が伸びてきて、あたしの体をドンッと倒した。

思わず冷たい廊下に尻もちをつく。

「バカじゃないの?颯君はもう実結ちゃんのことなんて好きでも何でもないんだよ!」

西田さんの振り上げた足があたしの顔の前まできた。

蹴られる…!

ぎゅっと目をつむった。