だって見上げた都築君の表情は、ものすごく苦しそうだったから。

「里桜は事故に遭って、今は意識不明の状態で、俺はあいつに好きだって言うことができないかもしれない。」

事故…意識不明の状態…

なにも言えない。

黙っていると都築君の腕の力が緩んだ。

「だから藤咲さんはちゃんと中原に伝えて。俺みたいに後悔してほしくない。」

一緒にいることが当たり前すぎて、空気みたいになっていて。

颯と離れてはじめて気がついた。

「里桜の髪もさ、藤咲さんみたいにちょっと茶色で、柔らかくて。俺は里桜が泣いたり、落ち込んだりしたらあいつの小さい頭を撫でてたんだ。そんで、そしたらあいつ、笑うんだよ。中原といるときの藤咲さんみたいに。」

颯に頭を撫でられると、くすぐったくて、嬉しくて、ふわふわする。

もっともっと大好きになる。

好きって伝えたくなる。

あたし、ちゃんと伝えなきゃ。

颯に好きって伝えなきゃ。

都築君、里桜ちゃん、ありがとう。

後悔しない。

このままじゃだめだ。


絶対颯に好きって伝えなきゃ。