「明日には退院できるって。一日学校休んだら大丈夫そうよ。あ、そうそう。」

荷物を整理しながら母さんに手渡された一枚の小さなメモ用紙。

「これ、実結ちゃんから。実結ちゃんが電話してくれたの。後でちゃんとお礼言ってね。」

そう言うと母さんは家に一旦帰っていった。

一人になった病室でぼんやり考える。

俺はこれからどうしたいんだ?

このままでいいのか?

実結とこのまま別れてしまってもいいのか…?


生まれてから18年間、いつも俺のとなりには実結がいた。

いつのまにかそれが当たり前のようなことになっていて。

いなくなって、手離してはじめて気がついた。

実結の存在が俺の中でどれだけ大きかったのか。

メモ用紙を開いた。

少し緊張しながら見る。

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颯へ

話したいことがあります。

色々けじめをつけたら話にいきたいです。

実結

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話したいこと、か。

俺もある。

たくさん実結に伝えたいことがあるんだ。

だけどけじめをつけるってなんだ?

そういえば俺はあいつに嫌われたんじゃなかったっけ。

確かはっきりと面と向かって言われた。

あまり思い出したくない記憶だから曖昧だけど。

そもそも今回のことだってなんで浜松工業のやつらは実結にあんなことをしたんだ?

俺と実結のことも知っていた。