鞄がないと携帯が使えない。

はやく、見つからないように見つけなきゃ!

「実結ちゃん?もしかしてこれ?」

目の前に降りてきたのは紛れもないあたしのスクールバッグ。

「返して!」

取り返そうとするけどひょいっと簡単に手は空をきって。

「助けなんて呼べないよ?」

再びあたしを地面へ押し倒してだんだん顔を近づけてくる。

…いやだっ…

「実結!」

颯の顔は赤く腫れていて、見るのも痛々しいくらい。

これ以上やられたら、死んじゃうかもしれない。

あたしが抵抗なんてしたらもっとやられる。

覚悟を決めてぎゅっと目をつむった。

「警察だ!」

だれかが叫んで。

突然聞こえたけたたましいサイレンの音。

その音を合図にバタバタと男の子たちは走っていってしまった。