にしても、本当に寒いなぁ…

そろそろコートも出さなきゃ。

でも冬の空は空気がきれいだからか星がすっごくきれいに見えるから好きなんだよね。

「あの、すみません!」

後ろから聞きなれない声がして、振り替えると知らない男子が立っていた。

たしか、この学ランは濱中工業の制服だったよね。

なんだろう、濱中工業は男子校だから、あたしは知り合いはいないはずなんだけど。

「ここから一番近いコンビニってどこかわかる?」

なあんだ、道を聞きたかっただけか。

それにしても地元の高校なのにこの辺のことよく知らないのかな…

「えっと、大通りに出て2本目の道を入ったところにありますよ。」

人は見かけで判断しちゃダメだってわかってるけど、着崩した第三ボタンまであけた学ランに腰パン。

金色に近い髪色に派手なピアス。

ちょっとこわい…

それだけいって離れようとした。

けど、なぜかその人はあたしの腕をつかんでいて。

「藤咲実結ちゃんだよね?」

えっ…なんでこの人あたしの名前知ってるの?

「おい!おせえよ!」

どこからやって来たのか気がつけば濱中工業の生徒三人に囲まれていた。

な、に…

それに全員茶髪や赤い髪。

「うわぁ、マジでかわいい!ちっちゃ!」

「俺、もろタイプだわ!」

なんか変だ…怖いよ…

「…離してください!」

振りほどこうとして力を入れるけど叶うはずもない。

「ははっ、力で勝てるわけないじゃん!かわいい!」