颯のこと、なんでも知ってるって思ってた自分が恥ずかしい。

あたし、本当は何にも知らないんじゃん。

「実結?」

「あっ...ごめんね、あたし、今日は帰るね!教えてくれて、ありがとう。おやすみ!」

このままここにいたら、きっと泣いてしまう。

早口でそう言うと、逃げるようにして颯の部屋から出ようとした。

「待てよ。」

えっ...?なんで?今、あたし、颯に...

恐る恐る振り替えると、颯があたしを後ろから抱き締めるかたち。

どうして?

わけわかんないよ...

颯は好きな子いるんでしょ?

なのに、なんでこんなこと...

頭が混乱して、1人でパニックに陥っていると、頭上から名前を呼ばれた。

「実結、好きだ。」

...えっ?

今、なんて...?

言われた言葉が信じられなくて、颯を見上げる。

「俺がずっと好きなのは、お前なんだよ。」

うそ...神様、これは夢ですか?

「実結、俺と付き合って。」

頭上から聞こえる颯の声が現実だって教えてくれて。

奇跡が、起こったんだ。