モヤモヤした思いを振り払うようにボールをゴールにシュートする。

頭はぐちゃぐちゃなのに、きれいに決まったシュート。

そのおかげか少しだけモヤモヤした気持ちが消えた気がした。


「颯君!係のことなんだけどね、今日のロングホームルームで…」

あの日からさらにベタベタしてくるようになった西田。

周りからは西田と付き合ってるのかなんて聞かれて本当に迷惑。

その日の放課後も係のせいで西田と二人きり。

延々としゃべりつづける西田にうんざりしていると、隣のクラスから実結が都築遥斗と出てくるのが見えた。

最近よく一緒にいるところを見るけど、そういえば同じ委員会だったな。

「ねえ、まだ実結ちゃんが好きなんでしょ?」

急に話をやめて、そう言った西田。

「別に、関係ないし。」

「だったら、あたしと付き合ってよ…」

そう言うと、西田の顔が急に近づいてきた。

こいつ…っ…

教室の窓越しで外にいた実結とばっちり目が合う。

俺と目があった実結はバタバタと走って、その後ろを都築遥斗が追いかけていった。

なんで、こんなとこだけで…

「やめろよ!」

大きな声を出すと西田は体をビクッとさせて離れる。