「颯君…?あたし…」

「いい加減にしろよ、そんな気ないっていってんだろ?」

少しきつい言い方で言うと、西田は引き下がった。


「ごめん、今はほっといてくんない?」

実結のこと、できるだけ考えないようにしたい。

体は勝手に反応するけど、今は考えたくない。

「…っ…あたし、諦めないからね!絶対諦めないから!」

そう言うと西田は走って行ってしまった。

俺も早く帰ろう。

一人で歩く通学路にはまだ慣れない。

いろんな景色を見るたびに嫌でも思い出される実結のこと。

あそこの段差でよく蹴躓いてたよな、とかあの空き地で子猫を見つけて、雨の日ずぶ濡れになりながら傘をさしてあげてたよなとか。

こういうのって時間が解決してくれるって言うけど、本当なのか?

一緒にいた時間が長すぎて、俺には無理そうだ。

ごめん、実結。