「悪い…」

慌てて離れようとするとそのまま肩に手をまわされた。

「このまま、寝たい。こうしてぎゅってして寝るの…」

疲れたのか最後の言葉があやふやになっている。

俺は実結の体を抱き締めたまま、目を閉じた。

こんな状況で眠れるはずがないけど。

だけど最後だから、こうしてたい。

どちらのかわからない鼓動が溶け合って。

心地いい。

小さくても温かい体温を感じながら、実結のおでこにかかった髪の毛をわける。

「…ん…」

「ありがと…俺も実結が好きだよ…」

眠ってるはずなのに少しだけ実結の口角が上がって、笑ったみたいな顔になる。

いつも笑ってて。

実結には涙より笑顔が似合う。

実結、こんな俺と付き合ってくれてありがとう。


夏休み最後の日、俺たちは幼なじみに戻った。