確かに少し冷えたかもな。

夏とはいえ、ここは山のなかだからけっこう寒い。


宿にもどって温泉にいく。

もうすぐ日にちをこえる時間のせいか、脱衣場には俺一人。

あいつ、怖がってねえかな…

そんなことを思いながら十五分ほど湯に浸かり、すっかり体も暖まったのででることにした。

脱衣場を出ると、また実結はまだ出てきていなかった。

またのぼせるぞ?

そばにあったベンチに座る。

たくさん歩いたせいか、少し眠くなってきた。

うとうとしていると、急に頬に冷たいものが触れた。

「どうぞ!」

そこにはいたずらっぽい顔をして、俺の頬にペットボトルをあてている実結。

「颯、寝てたよ?」

笑いながら言う。