いった瞬間、後悔に襲われた。

なんで好きだなんていってしまったんだろう。

今日が最後の日なのに。

無責任だよな。

有り得ない。

けど止まらなかったんだ。

実結が好きだって気持ちが。

実結のことが本当に好きなんだ。

伝えたくなったんだ。

うつむいたままの実結。

「颯…ぎゅってして。」

俺の理性なんてあっという間に崩れるんだ。

きつく抱き締めた体から体温が伝わってくる。

埋めた髪の毛から甘い香りが漂って。

それだけで俺は立ちくらみがしそうな感覚に襲われる。


別れる、別れるんだ。

今だけだ。

明日になったら、離れるんだ。

心のなかにいる弱い自分に必死に言い聞かせる。

「そろそろ戻ろっか?寒くなってきたし…」

このままこうしていたら決心が揺らぎそうだった。

「うん…あたしもう一回温泉入ってくるね。」