その時はまだ実結を好きだって感情を理解していないくらい幼くて。

夜、手を繋いで満天の星空を一緒に眺めた。

子供ながらにとても感動したのを覚えてる。

その日は流れ星もたしかよく流れた。

だから、俺は心のなかで願ったんだ。


『実結とずっと一緒にいられますように。』

『バスケでアメリカにいきたいです。』

皮肉なことに今、一方の願いが叶うと同時にもう一方はあきらめる。

どちらも叶えたいと思うのは贅沢なんだ。


駅に降りると結構な人がいた。

夏休みも終わりだからみんな最後の旅行に来てるのかもな。

「お腹すいたね、お昼たべよっか。」

「うん。」

時間はもう一時をまわっていた。

近くにあった小さな食堂に入った。

店には中年の女の人が一人で料理を作っていた。

「いらっしゃいませ!まぁまぁ、かわいい彼女さんとかっこいい彼氏さんだこと!」

そう言われ、思わず実結を見ると、顔を赤らめて嬉しそうに笑っている。