家に帰ると、母さんは買い物にでかけていてお昼ご飯とメモが机の上に置いてあった。

その横を通りすぎ、自分の部屋に入るとベットに寝転がる。

天井を見つめながら考える。

本当に今日、俺は実結と別れるのか。

昨日一緒に帰ったとき、俺から手を繋いだ。

最後だからって図々しいと思ったけど繋がずにはいられなかった。

実結のそのときのうれしそうな笑顔と、柔らかくて小さい手の温もりがいっそう実結を離したくないという思いを強くして。

本当にこの手を離してしまってもいいのか?

俺の弱い意志がまた揺れ出す。

これでいい、この選択が一番いいと自分に必死に言い聞かせて。

無理矢理自分自身の弱い部分を封じ込める。

もう迷わない。

これでいいんだ。

だけど、別れた後、思い出すくらいは、許してくれるよな。

別れた後も、忘れられないと思うから女々しいけど好きでいさせて。