「もう一人、言わなきゃいけないやつに言ったのか?」

もう一人?

もしかして…っは!?

「なんで…っ…」

「ちゃんといえよー、泣かすんじゃねーぞ!」

なんでこいつがしってんだよ。

「…先生ならどうしますか…」

こんなこと聞くつもりなかったのに、自然と口から出ていた。

「俺もしたことあるよ、遠距離はな、きっついぞ。本当に。」

だよな…特に俺達は今までずっと一緒だったから尚更、離れるってことに慣れていない。

「続いたんですか?」

「ああ、なんとかな。でもそれは俺達が大人だったからだ。社会人だったからだ。」

なんだよ、そういうことか。

所詮俺達はまだまだ子供。

これからお互いに新しい生活が始まる。

柴崎が言おうとしていることはもうだいたいわかる。

「相手を大切にするっていうことにたいしての選択肢はたくさんあるが、お前がちゃんと正しいと思える選択をしろよ。」

俺が正しいと思える選択?

そんなの、もうわかってる。