マンションまでの道を手を繋いで歩きながらこの一年間のことを思い出していた。

あの告白から俺と実結は確かに付き合い始めたけど、幼なじみだったときと変わったのかと聞かれると、全く変わってない。

登下校を一緒にするのは小学生の頃からのことだし、夜お互いの家に往き来するのも変わってない。

変わったことといえば、たまに、ほんとにたまにだけどこうして手を繋いで帰ることと、俺は自身の理性を保つのに前より必死だってこと。

自覚なしの天然は心臓に悪く、俺の理性を壊そうとする。

「颯、あたしと付き合ってくれてありがとうね。」

ほら、まただ。そんな顔、誰にも見せたくない。独占欲がどんどん強くなってる。俺、こんなに独占欲強かったんだ。

実結と付き合い始めて自分でも気がつかなかった自分の一面を見る。

「ココアあったー!颯、買ってくれるの?」

「うん、ほら。」

繋がれていた手を離し、その小さな手に小銭を渡す。

早速ココアのボタンを押し、自販から取り出した缶を頬に当てる実結。