君のとなりで

「だって…颯、今日なんの日か知ってる?」

あぁ…そういうことか。

「俺とお前が付き合い初めて一年の日、だろ?」

俺がそう言うと、実結は少し涙目になりながら笑った。

「覚えててくれたんだ!嬉しい。」

笑いながら無邪気に喜ぶ姿にやっぱり篠崎を待たずに早く帰れば良かったと今更ながらに思った。

「覚えてるだろ、ほら帰るよ。」

歩き出そうとすると実結が俺のブレザーの裾を掴んだ。

「…手、繋ぎたい。」

掴んだままうつむく実結がものすごく可愛く思えて。

「ん。」

小さなその手を握った。冷たい、やっぱり寒かったんだな。