「っ...いるよ。」颯が、好きなんだよ。

心の中でそう言った。

だめなんだよ、声に出さなきゃ。颯が好きって!

よし!

こんなチャンス二度と来ないかもしれない。伝えるなら今だよね...

「あのっ、」

あたしが口を開いた瞬間、

「俺はずっと好きなやつがいるんだ。」

遮るように言った颯の声は、近くにいるのになぜだか遠くから聞こえた気がした。

それって、あたし告白する前に失恋しちゃったってことだよね?

「そっかー!良かったじゃん、颯ならきっとすぐ彼女できるよ!」

目からこぼれそうになるものを必死で堪えながら、無理やり笑った。

辛い。胸が苦しい…

颯に好きな子がいたなんて初めて知った。

だって、颯はすごく女の子にモテるけど恋愛には鈍くて、誰とも付き合ったりしなかったから。

女の子に興味ないって勝手に考えてたけど、誰とも付き合わなかったのは好きな女の子がいたからなんだね。