「颯ー!誕生日おめでとー!」

ここんところ、毎日テンションが高い昂。

激しいフットワークの後にも関わらず、ピンピンしている。

「実結ちゃんは何をくれるのかな?楽しみだなー、颯くん!」

は?颯くんとか気持ち悪。

うるさい昂をほってさっさと部室に入る。

「なんだよ、テンション低いなー。本当は楽しみなんだろ?」

お前が異常にテンションが高いだけだろ。

「じゃ、俺先に帰るから。」

部室と体育館の鍵を昂のロッカーにおく。

「おう、楽しんでこいよ!」

俺は急ぎ足で部室をでた。

図書室でいつも通り待ち合わせをして、そのままうちに帰る。

いつも通りのかえりみちなのに、なんだか今日はいつもと違って感じる。

それはやけに静かなこいつだ。

ただひたすら黙って歩き続けて、あっという間にマンションに到着。

「どうする?」

「へっ?」

やっと顔をあげた実結。

その顔は完全に緊張にひきつっている表情で。

「いや、だからこのままくるか、一旦帰るか。」

すると、考え込む実結。

やっぱりあんなこと言わせたのがいけなかったんだろうな。

「実結、この前いったことなら気にすんな。何もしないから。」

そういって頭を撫でてやると、なぜか不機嫌そうにする。

「このまま…」

「え?」

俯いていた顔をあげて、大きな声で言った。

「このまま颯の部屋にいく!」